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開きかけた桜の花に
思い出したか
雨が降る
春の始めの雨が降る
遠く遠く彼方へ往ったひと
交わした言葉だけ此処にとどまって
桜の季節を迎えるたび
懐かしい時間が蘇る
毎年きまってこの時に
咲き始めると雨が降る
桜が咲くのに驚いて
春が來たのに驚いて
きっと慌てて春の雨が
「ちょっとすまん」と言うように
春の始めの雨が降る
春が來たのに気づかずに
ぼんやりしていた春の雨
蕾がはじける小さな音に
びっくり目覚めて起きたように
そんなみたいな花の雨
切り替えつかない花の雨
春なのに
冬を引きずる花の雨
まだまだ冷たい花の雨
花見するにはまだ早いから
今のうちならいいだろうって
ちょっとお湿りいいだろうって
人の気持ちも知らないで
憎まれ顔の花の雨
沢山ふるなよ
散らすなよ
蕾にゃ絶対触れるなよ
一度だけだよ二度降るな
できたらもう少し暖かく
春の雨なんだから
歩き出すわたしに降り注ぐ
花びらの雨の向こう
微笑んだいとしい幻が
浮かんで消えてゆく
この空の下で
あなたは
笑顔で暮らしているのでしょうか
こたえを求めずに問いかけた
満開寸前の桜を襲った雨
三月も終わりの冷たい雨
雨に濡れた桜もなんだか物悲しくて
綺麗だと思った
- 6樓. 仙 道2006/03/15 08:01
- 5樓. 仙 道2006/03/15 07:58あゝ わがひと
太陽は美しく輝き
あるひは 太陽の美しく輝くことを希ひ
手をかたくくみあはせ
しづかに私たちは歩いて行った
かく誘ふものの何であらうとも
仙 道 - 4樓. 仙 道2006/03/15 07:58あゝ わがひと
私たちの内の
誘はるる清らかさを私は信ずる
無縁のひとはたとへ
鳥々は恒に変らず鳴き
草木の囁きは時をわかたずとするとも
仙 道 - 3樓. 仙 道2006/03/15 07:57あゝ わがひと
いま私たちは聴く
私たちの意志の姿勢で
それらの無辺な広大の讃歌を
仙 道 - 2樓. 仙 道2006/03/15 07:56あゝ わがひと
あゝ わがひと
輝くこの日光の中に忍びこんでゐる
音なき空虚を
歴然と見わくる目の発明の
何にならう
仙 道 - 1樓. 仙 道2006/03/15 07:55あゝ わがひと
如かない 人気ない山に上り
切に希はれた太陽をして
殆ど死した湖の一面に遍照さするのに
仙 道




